メニューごとのいただき方

オードブル

昔はコース料理に含まれませんでしたが、最近ではコースの最初に出される料理という位置づけになっています。食欲を高めるためのものですので、オードブルだけで満腹になることのないよう、ごく少量出されます。

 

いただくときにはテーブルセッティングの一番外側、オードブル用のナイフ・フォークを使います。

 

 

スープ

ブイヨンカップ・ソーサー
ブイヨンカップ・ソーサー

 

日本ではスープ=汁物、飲むものとされますが、西洋料理ではスープは食べるものに位置づけされています。

 

◎スープ用の皿には大きく分けて2種類あります。

  • スープボウル・ソーサー=中央がくぼんだ皿
  • ブイヨンカップ・ソーサー=カップの両側に取っ手がついた皿と敷き皿

 

  1. スープは皿の手前から向こうへスプーンを動かしてすくう方法と、向こうから手前へ動かしてすくう方法とがありますが、厳密な決まりはありません。(手前から向こう=イギリス式、向こうから手前=フランス式という説もあります)
  2. スプーンは浮き身を口に入れるときのみ口の中にいれ、汁物を飲むときはスプーンの脇から流し込むようにしていただきます。
  3. スプーンは斜めに持ち、頬から45度くらい離して使うとスマートです。
  4. 汁物だからといって、あまり前かがみにならないようにします。
  5. スプーンですくう量は8分目程度にします。
  6. スープに入っている浮き身や具は、スープの量が多いうちにいただきます。
  7. スープをいただくとき、すすったり音を立てるのは最も嫌われる行為です。

 

〈スープボウルでいただく場合

  • 左手を皿に添え、スプーンでスープをすくって口元へ運びます。
  • 音を立てずに、流し込むように静かにいただきます。
  • スープの量が少なくなってきたら、皿に添えた指を少し上げ、皿の手前から持ち上げます。それを手前からすくっていただきます。
  • 終了後のスプーンはスープボウルの中に置きます。このとき、伏せて置かず、上向きのまま置きます。また、敷き皿がある場合はボウルの手前、敷き皿の上に置きます。

 

〈ブイヨンカップでいただく場合〉

ブイヨンカップでのいただき方には2通りありますが、その時々によって使い分けてください。

また、ブイヨンカップの場合には通常のスープスプーンよりも小ぶりなスプーンが用意されます。

  • 左手をカップの取ってに添え、スプーンで一口すくって口に運びいただきます。そのまま最後までスプーンでいただきます。
  • 左手を添え、まずスプーンで2〜3口いただきます。ここでスープの熱さをたしかめます。その後、スープが適温まで下がってきたらスプーンを置き、右手でカップの取っ手を持って持ち上げ、カップに直接口をつけて、流し込むようにしていただきます。左手はカップの左側の取っ手に添えておきます。ただし、正式ないただき方は、最初から最後までスプーンで召し上がってください。
  • 終了後、スプーンは敷き皿(ソーサー)の上、カップの手前に、スプーンを上に向けたまま置きます。

 

 

パン

パンはスープが出されるときに配られます。配られたらすぐにいただいても構いません。ただし、パンをいただくのはスープからメインディッシュの終わりまでとなります。

  1. バタークーラーからバターナイフでバターを適量、パン皿に取り分ける。
  2. パンを一口大にちぎり、バタースプレターで適量つけて、一口でいただく。(噛みちぎらない)
  3. ちぎるときにパンくずが落ちるので、パン皿の上、または料理皿の上でちぎります。
  4. パンにスープや料理のソースをからめて食べる方がいますが、フォーマルな席では控えましょう。基本的にスープはそのものを味わうためのもの、ソースは料理に合わせたものですので、パンにつけずにいただきます。

 

 

魚料理

スープに続いて供されるのが魚料理です。海水魚・淡水魚・甲殻類・貝類など、材料は鮮度が命のものばかり。あっさりとした軽めのソースをそえた繊細な味わいを楽しみたいものです。

 

ポイント 使い方
 魚用のナイフ・フォークの特徴

ナイフ・フォークの持ち方と使い方はテーブルナイフやテーブルフォークと基本は一緒です。

 

ソースをたっぷりと使った料理の場合は、ソース・スプーン(フィッシュ・スプーンともいう)が用意されることもあります。ソース・スプーンはナイフとスプーン、ふたつの役割を果たします。そのため、スプーンですが先端がやや鋭角になっています。

 

切り身の魚料理をいただくときは、ナイフを使う要領でソース・スプーンを右手に持ち、やや立て加減に使って魚を切ります。切った魚はフィッシュ・フォークで刺しても、魚とソースを一緒にすくうようにしてスプーンで口に運んでも、どちらでも結構です。ソース・スプーンが添えられているときはフィッシュナイフはセットされません。

魚に添えられたレモン

付け合わせの温野菜のほかに、三日月形に切られたレモン(シャトーレモン)が添えられていることがあります。

その場合はレモンを料理の上で絞り、果汁をかけます。このとき手に持ったレモンを反対側の手で覆って、果汁が飛び散らないように防ぎます。果汁のついた指はナプキンでぬぐいます。

 

レモンが輪切りだった場合は、絞らずに香りだけ移します。

レモンを魚に添えて軽くフォークで押さえ、ナイフの背の部分で軽く押さえるようにして香りを料理に移します。いずれも使い終わったレモンは皿の上のほうに寄せておきます。

切り身の魚料理のいただきかた

あらかじめ骨の外された切り身の場合は、料理の左側からいただきます。

切り身で骨もありませんので、ナイフ・フォークともにさほど力を入れる必要はありません。意外と簡単にいただけるはずです。添えられたソースを十分につけて、ソースをなるべく残さないようにいただきます。

尾頭つきの魚料理のいただきかた

 一尾丸ごと、いわゆる尾頭つきの状態で供される魚料理もあります。

この場合は、頭や骨など、食べられない部分は上手に取り除いていただかなくてはなりません。まず、最初に覚えておきたいのは、魚料理のタブー。それは魚を皿の上でひっくり返すことです。

〈上身のはずし方

  1. 左手で頭の部分をフォークで押さえます。右手のナイフはやや立て気味に、鉛筆を持つようにして、魚の中心部分に(太い骨に沿うように)切り目を入れます。
  2. 頭から尾まで切り目が入ったら、まず手前側(魚の腹側)の半身をナイフで剥がすようにして、手前にずらして降ろします。
  3. 次に骨から向こう半分の身(魚の背側)を骨から浮かせるようにして、身をはずします。はずした身は、やはり魚の手前側にずらしておろします。
  4. あとは切り身のいただき方と同様に、左側からいただきます。

 

〈下身のはずし方〉

  1. 骨から下の身をいただくために骨をはずします。フォークで魚の頭を押さえ、ナイフの刃を外側に向け先を身と骨の間に差し込みます。尾の部分まで差し込んで、骨に沿って滑らせるように頭に向かって骨をはずします。
  2. はずれた骨は頭ごと皿の上側にまとめて置きます。
  3. 上身同様に、左側からいただきます。

 

〈いただき方のポイント〉

  1. 切り身状態にしてから、左側からナイフで一口サイズに切って、フォークで刺して口に運びます。いただくときは、ソースをしっかりとからめ、また、添えられた温野菜などと交互にいただきます。
  2. 手前の半身を先にいただいてから、向こう側の半身をはずしていただく方法もあります。
  3. 舌平目など、背側・腹側ともしっかりとヒレがあるような魚の場合ははずしにくいので、先に背側・腹側に切り目を入れてから、中心に切り目を入れるとははずしやすくなります。
  4. 魚の身は柔らかいので、力を入れすぎると骨から下の半身が崩れてしまいます。力加減に注意してください。
  5. 小骨があるときは、ナイフの刃先で取り除きます。
  6. 頭や骨、尾びれなどは皿の上にきれいにまとめておきます。

 

 

肉料理

 

肉料理はメインディッシュの中でも最も存在感の大きな料理といえます。さまざまな素材がさまざまな調理法で料理されるため、肉料理のバリエーションは実に多彩です。

 

魚に比べて組織がしっかりとしているため、切り分けたり、刺して口に運んだりするにはナイフ・フォークを上手に使う必要があります。また、ソースはサービス方法によっては後から出される場合もあります。皿を見てソースが添えられていない場合は注意してください。

 

〈ステーキのいただき方〉

   ステーキをいただくときのポイントは次の通りです。

  1. ステーキの左側をフォークで押さえ、一口ずつナイフで切ります。
  2. フォークでしっかりと押さえて、ナイフを肉に対して平行にして前後に動かして切ります。
  3. 切ったステーキをフォークでそのまま刺して、口に運びます。

 

 

サラダ

サラダは肉料理の後に出される場合もありますが、最近のレストランなどではオードブル代わりにサラダ的な料理(生野菜を使ったもの)を出すところもあります。(その場合はメインディッシュでサラダは出てきません。)また、コース料理では肉料理のサイドディッシュとして出されることもあります。

 

〈サラダのいただき方〉

アラカルト(一品料理)として出される場合は、自分の前、中央部にサラダが一皿で出されます。コース料理の一部の場合は、肉料理のサイドディッシュとして一緒に出されることが多く、小ぶりな皿に盛られて、肉料理の左側に出されます。

 

 

 サラダをいただくときの注意点は次の通りです。

  1. コース料理のときは、肉料理用のナイフ・フォークを使います。別にサラダ用が用意されている場合はそちらを使います。
  2. トマトやアスパラガスなど大きな野菜はナイフで切っていただきます。
  3. 大きなレタスなどは、ナイフとフォークを使って折りたたみ、フォークで押すように刺して口に運びます。
  4. ナイフのいらない、一口サイズの野菜は、フォークを右手に持ち替えてすくうようにしていただいても失礼にはなりません。

 

チーズ

 

チーズは脂っこい肉料理と甘いデザートの間を橋渡しする位置づけです。日本ではチーズはオードブルだと考えられがちですが、肉料理の後に出されるのが正式です。これは料理にマッチしたワインを最後まで楽しむためのものでもあります。日本ではチーズを省略するところもあります。

 

〈チーズのいただき方〉

レストランなどでは多くの場合、さまざまなチーズが大きなワゴンに乗せられてきます。ゲストはその中から好みのものを2〜3種類選び、取り分けてもらいます。

 

見ただけで味や硬さなどがよくわからない場合は、サービススタッフに相談すると良いでしょう。取り分けられるチーズの目安は、一人分が約30g程度です。

 

 

デザート

古い文献によれば、デザートとはチーズ、アントルメ、菓子のことを意味したようです。現在ではデザートはアントルメとフルーツに分けられます。

 

〈デザート用のナイフ・フォーク〉

  • 中央の皿の位置よりも向こう側に、デザート用のナイフ、フォーク、スプーンがセッティングされます。使う時は一番向こう側から、手前へと順番につかいます。
  •  ホテルやレストランによってはデザート用のナイフ・フォークをデザート皿に添えて出されることもあります。その場合はそれをそのまま使います。
  • また、店によってはナイフ・フォークの配列が逆な場合もあります。よくわからないときはサービススタッフに聞いてください。

 

〈デザートのいただき方〉

ポイント 内容
1. スプーンを使うとき

ババロア、アイスクリーム、メロン、パパイヤなどはスプーンを使っていただきます。

スプーンを使う場合は器や皿、あるいは果物に必ず左手を添えるようにします。

2. ナイフ・フォークを使うとき

メロンなどが舟形でカットされて出されたとき、バナナ、桃、クレープシュゼット、ケーキなど。ナイフ・フォークの使い方は魚料理や肉料理をいただくときと基本は同じです。フルーツについては、以前は皮付きのまま出されると、ナイフで果肉と皮を切り離したりしましたが、最近ではそのようなフルーツの出し方はあまり見られません。

始めから食べやすいサイズにカットされていたり、切り目が入れてあるなどの配慮されることが多いようです。

ケーキ類などで大きなものは、左側から一口サイズに切って、フォークで刺して口に運びます。

一口サイズのプチフールや小型のタルトなどは指でつまんでいただきます。

3. 指先を使っていただく場合

ごく小さな一口サイズのケーキやタルト、また、ナイフ・フォークでは食べにくいブドウ(巨峰やマスカット)、さくらんぼなどは指先を使っていただきます。

手を使っていただくデザートには、フィンガーボウルが用意されます。中にぬるま湯が入っていますから、左右交互に指先を入れて洗い、ナプキンで拭います。

いずれの場合もデザートをいただいた後のくだものの皮や種、ケーキ類のホイル、紙類などは皿の上方にきれいにまとめておきます。

コーヒー・紅茶

コース料理の最後に、コーヒーか紅茶が用意されます。これは料理の消化を助けるためのものでもあり、口の中をさっぱりさせる、エピローグでもあります。

 

スープの場合と同様、すするような音を立てるのはマナーに反します。また、熱いからと、ふうふうと息を吹きかける事はしないでください。

 

 

教えて!

Q フィンガーボウルって?

A 食事で汚れた手を洗うためのものです。片手ずつ指先を洗い、ボウルのそばにナプキンを持っていき拭きます。